2008年02月

全世界で感染するリスクが高いはどこ? 3

2008年02月28日

Global trends in emerging infectious diseases. Nature. Vol.451, pages 990-994, 2008.

ネイチャーより。

最近では鳥インフルエンザの危険性が指摘されてますが、いろいろな感染症が起きるリスクの高い場所はいったいどこか?

これがわかれば感染症対策もしやすいっていう考えで、これまで(1940年から2004年まで)に報告された感染症の発生震源地、335地点を解析しました、というのがこの論文。

結果としては、
・人口密度の多い地域で感染拡大が起こりやすい
・ヒトと動物それぞれを媒介する病原体(SARSウイルスなんかが一例です)が確率的に最も多い

ということがわかったそう。

ただ、問題として、
・報告された論文は先進国からがほとんどで、それ以外の国からの報告が少ない

そんなわけでいろいろと数値解析を行ってデータを補正しているので、もっと正確な場所がどこかを検討するには全世界で監視しなければいけないね、というものでした。

結果としては至極まともな結果なのですが、僕が一番すごい!と思ったのは、この解析を行うためにデータの参考にした論文の数が、



747!

これだけで拍手です(ネット上でsupplemental dataとして載っていますので、興味のある人だけ見てみて下さい→ただし 電大内などNatureサイトにログインできる箇所に限ります)。

コウモリの先祖は夜行性じゃなかった? 3

2008年02月25日

Primitive early eocene bat from Wyoming and the evolution of flight and echlocation. Nature. Vol.451, pages 818-822, 2008.

ネイチャーより。

コウモリといえば、どうくつの上にたくさんいて、夜になるとバッタバタと飛び回る・・・
そんなイメージをもつ人が多いと思います。
僕自身も中学校の校庭で、部活の練習が遅くなると、どこからともなくコウモリ達がバッタバタと飛んできて、一体どこから来たんだろう、と思っていたことを思い出します。あとはアニメ、バットマンの印象かな。

コウモリが夜ちゃんと飛ぶことができるのは、コウモリがだす超音波のはね返りである反響音を聞き取ることによって自分の位置を判断しています。

ただ、哺乳類である(鳥類ではないですよ)コウモリの祖先は果たして現存するコウモリになるためにどうやって進化してきたか、これまで下の3つの考えの間で大変な論争が繰り広げられてきたようです。

1)超音波を聞き取る能力が備わり、その次に飛べるようになった
2)飛べるのが先で、その後超音波を聞き取れるようになった
3)超音波、飛行能力それぞれが同じように発達した

ということで、それを解決する1つの鍵として、このほどアメリカで5250万年前の地層からコウモリの化石が見つかったそうです。これはコウモリの化石として見つかった中では一番古いのだそう。
この化石を調べたところ、十分な飛行能力はもっていたそうですが、耳の発達が現在のコウモリと比べると不十分で小さく、超音波聞き取り能力がないとのことです。

つまり、コウモリの先祖はまず飛ぶ能力が備わり、その後超音波聞き取り能力が備わったみたいということでした。


ただ、ここで疑問が。

果たして超音波聞き取り能力のないコウモリは夜飛んだのか?
もし夜行性でなおかつ超音波聞き取り能力がないとすると、視力がよほどよくないと飛べません。

で、この出土した化石。残念なことに頭蓋骨の上部が砕けてて、目の大きさがどうだったのかまでは推定できないそう。

謎は暗いヤミにつつまれましたね。

入学後のことについて 3

合格者対象相談会開催!

生命理工学系をはじめとして理工学部では、合格した方を対象とした相談会を鳩山キャンパスにて開催しております。

4月からどういうところで学ぶのだろう。授業はどんな感じ?

通学時間はどのくらいかかるのか、また、下宿するとしたらどんなところがあるの?

いろいろ質問があるかと思います。

できるだけ懇切丁寧に大学教職員が答えますので、合格したらぜひ一度きてみて下さい!




どこのワインが体にいいか? 3

2008年02月17日

Red wine procyanidins and vascular health. Nature. Vol.444, page 566, 2006.

僕はワインを飲むのが好きです。
なので、今回は全くもって僕の趣味の紹介です。

ワインってよく体にいい飲み物だって言われるけど、どのワインも同じように体にいいんだろうか・・・

そんな疑問に答えてくれるのが今回の研究論文です。

ワインの中のポリフェノール成分、特に今回筆者たちが着目したのはオリゴプロシアニジンと言われる一種です。これらは動脈硬化を抑制する作用が報告されています。

そこで、筆者は165品種の世界中のワインを集めてきて、その中でオリゴプロシアニジンが一番多いワインはどれか、LC-MSという分析法で分析しました。

すると、南西フランス産のものが、他の産地と比べても2-4倍多いことがわかったそうです!

これは、伝統的なワイン製造法のままなので、ブドウの種に含まれているオリゴプロシアニジンが抽出されやすいこと、またタナ種というここでよく使われるブドウの品種にも原因があるそうです。

タナ種、は英語で書くとtannat。文字通り、タンニンの渋みが強いものだそう。

良薬は口に苦し、です。
もしワインを飲んで健康を維持したい!という人は、値段も安いみたいなので、いかがでしょう。

しかし、分析に使ったワインの余りはどうしたんでしょうか。やっぱり、飲んだんでしょうねえ。
うらやましい研究です。こういう研究はみんなのためにもなり,自分のためにもなる。まったくいいもんですね。

生まれる子どもの性別は温度で決まる! 4

2008年02月14日

The adaptive significance of temperature-dependent sex determination in a reptile. Nature. Vol.451, page 566-568, 2008.

お知らせしていた論文紹介の記念すべき一回目です!

何を紹介しようか迷いましたが、細かい内容のものを紹介しても全く面白くないだろうし、僕自身書いてて面白みを感じないので、

ここはみんなが誰でも知っている(だろう)有名な雑誌に、「あ、こんな研究が載っているの!」という僕個人の観点から紹介して行きたいと思います。

で、肝心の論文はネイチャーからのものです。ネイチャー、これは科学全般をカバーする超有名な週刊誌(週間現代とか、週間ポストとかと一緒ですね。いや、違うか。)です。残念ながら日本では普通の書店にはおいてませんが、研究論文以外にも、科学に関するものならいろいろと載っている雑誌です。似たようなものにサイエンスがありますが、サイエンスはアメリカの雑誌、ネイチャーはイギリスの雑誌です。

ネイチャーやサイエンスに自分の論文が載るのは大変難しいので、科学研究をする人なら誰しもネイチャーやサイエンスに自分の研究論文を載せてみたいと思うのではないでしょうか(もうたくさん載せているからどうでもいい、という大先生はこんなブログはみないでしょうからいいとして)。僕もいつかは。。。

というわけで、超有名で載ったら大変栄誉なネイチャーに載るような論文とは、いったいどんなものなのか?

今回はタイトルにある通り、子どもの性別が温度で変わる!

というものです。

といっても、残念ながら(残念ではないか)わたしたち人間の子どもではありません。
は虫類の話です。

これまで、生まれてくる、は虫類の子どもの性別は卵の時にどういう温度だったかによって決まることが経験上わかっていたそうです(ある温度ではオスが生まれやすいけど、それ以下やそれ以上ではメスが生まれやすいというように)。温度と性別の関係について理論的に説明するモデル式まであったそうですが、それが実際の実験では証明されていなかった。

それを、この論文ではその理論を実際に実験で証明してみせたんです。研究対象としては寿命の短いジャッキー・ドラゴンというオーストラリアのトカゲの一種を使って、一定の温度のおりに入れて3年間ずっと観察をしたそうです。そしたら3年通しても、ちゃんとある温度ではオス、それ以外ではメスが生まれてきたそう。

いやー、3年間も実験を気長にするとは。。。うまくいってよかったですけど、途中でトカゲたちがけんかしたり脱走を試みたりして実験条件がかわらなくてよかったですよね。一匹くらい、こんな管理された空間はいやだぜなんて考えたトカゲはいなかったのかな。

と、こんな面白い論文もネイチャーにはありますので、もし興味がわいたら原文も読んでみて下さい。
電大内ならインターネット経由で全文読めます。

卒研発表会 2

2008年02月12日

b3a1e4c3.jpg2月8日、金曜日に生命理工学系の母体の一部、生命工学科の卒業研究発表会が理工学部の12号館アトリウムにて行われました。ポスター形式での発表で、みんな1年間の研究の成果を先生や他の学生に発表していました。

写真は発表会直後に撮ったものですが、本当はこの後もっとたくさんの人でごったがえしていました。

研究論文の紹介をします 3

2008年02月09日

ということで、お知らせ以外に何をここで書こうかと思っていたのですが。

やはり生命理工学系の公式ブログに自分の日常を書いてもよくはないだろう、もっとふさわしいものを書いた方がいいだろうと思い、僕が面白い!と思った研究論文を紹介していこうと思います。

なぜ、研究論文なのかというと、生命理工学系で使っている教科書、参考書を含めた科学系の本は、すべて理論や実験をはじめに発見、発明した人が書く、研究論文がすべて集まったモノだからです。

教科書や参考書をかいた人は一つ一つの研究論文を読んで、トピックごとに再構成して一つ一つの章にして本を作った訳です。

ただ、本が出版されたあとも新たな科学的発見、科学的発明は毎日続くので「情報の鮮度」が落ちてしまいます。基本的な事柄はそんなにかわらないので基本的な知識を得るために、本を読むというのは非常に大切ですが、それだけでは最新の研究レベルでは全く物足りない訳です。例えば、教科書を読んで、よし!こんな研究をやってみようと思い立っても、実はもう世界のどこかでその研究はすでにやられていたというふうに。科学全般の進歩は一つ一つの発見・発明の積み重ねで、その発見・発明は研究論文という形で公表されるということになります。

そこで、僕たち教員は専門の研究分野の研究論文を(恐らく)毎日読んで、新たな情報、知識を取り入れています。そして研究をして(研究室はブラックボックスではなくて世界初の研究をしているんですよ)。

問題として、研究論文はみんなに知ってもらいたいので、普通の論文は英語で書かれています。ここが、(わたしたち日本人には)最大の障壁になってしまいます。案外読んでみると面白いんですがね(と僕は思うんだけど)。

ということで、ここでは数ある研究論文(ちょっと調べてみたところ世界には6000近くの研究論文雑誌があるみたいです。すごいですね。)のうち、僕が興味をもった論文を紹介していこうと思います。だいたいの研究論文雑誌はネット上で一部読めるようになってますので、リンクからとべるようにしておきます。もし興味があったらもっと詳しく読んでみてください。

では、不定期で論文紹介をはじめます!

ブログをはじめます 1

2008年02月06日

東京電機大学理工学部生命理工学系のブログを運営することになった長原 です。

このブログではおもに生命理工学系の学生を対象にして、学系の行事や連絡事項を報告する場として活用していきたいと思います。学生のみなさんはちょくちょくこのブログをチェックして下さい。

とは言っても、個人的な呼び出しはこの場ではできないので、やはり大学にある掲示板も必ずチェックして下さい。あくまでも補助的なお知らせ方法と考えて下さい。ブログに載っていなかったから大事な連絡を見落としたと言われても僕は責任をもてません。

ただ、お知らせだけでは面白くないのでもう一つ別な情報も積極的にアップしていこうと思います。何かについては後ほど。

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