2009年09月
酸化はいいの?悪いの?
2009年09月28日
Reactive oxygen species prime Drosophila haematopoietic progenitors for differentiation. Nature, Vol.461, Pages 537-541, 2009.
酸化。
肌のツヤが悪くなるから、美容に酸化は大敵!
というアンチエイジングとしての側面以外にも、DNAが傷害を受けてしまう要因にもなるので健康のためにも酸化はダメ、ゼッタイ!
と、ちまたには抗酸化作用を持つ健康食品があふれています。
でも、酸化って本当に体に悪いことなの?との問題提起をする論文がこちら(Natureが好きそうですよね、こういう異論反論論文って)。
実は体を防御したり、物質輸送の役割を持つ血球を形作る際に、酸化が大きく関与しているそうです。酸化を引き起こす活性酸素種(ROSと呼ばれます)が刺激となって、さまざまな血球へと形作られていく。しかも、ちゃんと酸化されないときちんとした血球ができないとのこと。
この話はヒトではなく、ショウジョウバエでの話ですが、なんでもかんでも酸化は体にとっていけないんだ!ということではなく、酸化される場所やその量によってですが、酸化は私たちの健康にいい(というより体作りに必要!)ということのようです。
酸化。
肌のツヤが悪くなるから、美容に酸化は大敵!
というアンチエイジングとしての側面以外にも、DNAが傷害を受けてしまう要因にもなるので健康のためにも酸化はダメ、ゼッタイ!
と、ちまたには抗酸化作用を持つ健康食品があふれています。
でも、酸化って本当に体に悪いことなの?との問題提起をする論文がこちら(Natureが好きそうですよね、こういう異論反論論文って)。
実は体を防御したり、物質輸送の役割を持つ血球を形作る際に、酸化が大きく関与しているそうです。酸化を引き起こす活性酸素種(ROSと呼ばれます)が刺激となって、さまざまな血球へと形作られていく。しかも、ちゃんと酸化されないときちんとした血球ができないとのこと。
この話はヒトではなく、ショウジョウバエでの話ですが、なんでもかんでも酸化は体にとっていけないんだ!ということではなく、酸化される場所やその量によってですが、酸化は私たちの健康にいい(というより体作りに必要!)ということのようです。
死にゆく細胞が手招きする
2009年09月10日
Nucleotides released by apoptotic cells act as a find-me signal to promote phagocytic clearance. Nature, Vol. 461, Pages 282-286, 2009.
寿命がきたり、傷害をうけて死にゆく細胞は、完全に壊れて炎症を起こす物質を外にばらまく前に、マクロファージと呼ばれる細胞がぱくぱくと食べにきて(貪食)、生体内では一見きれいな細胞しか存在していないようにみえます。
マクロファージが一体どうやって死にゆく細胞のところにきちんとやってこれるのか?
実は死にゆく細胞からATPが放出され、ATPの濃度が濃い方へとマクロファージはATPをたよりに死にゆく細胞に近づいていってぱくりっ!と食べるんではないかという論文です。
ATPは一般的にはエネルギー源として知られていますが、いろいろな役割をしているんですね。
もし、これが本当なら、ATPをたくさん飲むと濃度差が中和されてしまって死にゆく細胞がどこにあるかマクロファージがわからなくなってしまって炎症が起きてしまうのかな?
寿命がきたり、傷害をうけて死にゆく細胞は、完全に壊れて炎症を起こす物質を外にばらまく前に、マクロファージと呼ばれる細胞がぱくぱくと食べにきて(貪食)、生体内では一見きれいな細胞しか存在していないようにみえます。
マクロファージが一体どうやって死にゆく細胞のところにきちんとやってこれるのか?
実は死にゆく細胞からATPが放出され、ATPの濃度が濃い方へとマクロファージはATPをたよりに死にゆく細胞に近づいていってぱくりっ!と食べるんではないかという論文です。
ATPは一般的にはエネルギー源として知られていますが、いろいろな役割をしているんですね。
もし、これが本当なら、ATPをたくさん飲むと濃度差が中和されてしまって死にゆく細胞がどこにあるかマクロファージがわからなくなってしまって炎症が起きてしまうのかな?
新型インフルエンザウイルスが感染したら?
2009年09月07日
In vitro and in vivo characterization of new swine-origin H1N1 influenza virus. Nature, Vol. 460, Pages 1021-1025, 2009.
新型インフルエンザウイルスが通常流行するH1N1インフルエンザと感染後、どう違うのかについて、動物実験を用いたデータが載っていました。
全て重要なデータなのでトピックを箇条書きに。
・新型はこれまでのものと違い、肺に炎症を引き起こしやすい(肺で炎症性のサイトカイン産生が確認)
・豚で新型インフルエンザに感染しても症状が確認されにくいので、豚の段階で感染拡大を発見するのは難しい
・タミフルなどの既存のインフルエンザウイルス薬の効果は新型インフルエンザウイルスと通常のインフルエンザウイルスとではほぼ変わらず(動物実験でもちゃんときくことがわかった)
また、年齢の異なるたくさんの方から血清をもらって行った研究により、
・1918年のスペイン風邪(インフルエンザパンデミック)にかかった人は今回の新型インフルエンザウイルスに対して抗体を持っている。それ以降に生まれた人は全く持っていない
ということは大変ご高齢の方以外は誰しもが感染する可能性があり、肺に炎症を起こしやすいので、すぐに処置をするのが大切、ということになると思います。
新型インフルエンザウイルスが通常流行するH1N1インフルエンザと感染後、どう違うのかについて、動物実験を用いたデータが載っていました。
全て重要なデータなのでトピックを箇条書きに。
・新型はこれまでのものと違い、肺に炎症を引き起こしやすい(肺で炎症性のサイトカイン産生が確認)
・豚で新型インフルエンザに感染しても症状が確認されにくいので、豚の段階で感染拡大を発見するのは難しい
・タミフルなどの既存のインフルエンザウイルス薬の効果は新型インフルエンザウイルスと通常のインフルエンザウイルスとではほぼ変わらず(動物実験でもちゃんときくことがわかった)
また、年齢の異なるたくさんの方から血清をもらって行った研究により、
・1918年のスペイン風邪(インフルエンザパンデミック)にかかった人は今回の新型インフルエンザウイルスに対して抗体を持っている。それ以降に生まれた人は全く持っていない
ということは大変ご高齢の方以外は誰しもが感染する可能性があり、肺に炎症を起こしやすいので、すぐに処置をするのが大切、ということになると思います。
3RB生命理工学ゼミV(3B生命工学ゼミD)教室
2009年09月04日
9月16日(水)1時限目の生命理工学ゼミV(生命工学ゼミD)の教室は以下の通りになります。各自、配属された研究室の先生の教室に集まって下さい。
●生命科学コース
川井先生:208室,ゼミD 田中先生:226室
村松先生:生命科学実験室,ゼミD 長原先生:225室
●生物環境コース
山名先生:324室 村勢先生:206室,ゼミD
栗山先生:115室,ゼミD 松永先生:(別個指示あり)
安倍先生:224室
●生体電子情報コース
星野先生:327室 保坂先生:229室
内川先生:326室
●医用・機械システムコース
福井先生:328室 宮脇先生:228室
内田先生:227室,ゼミD 舟久保先生:325室
●生命科学コース
川井先生:208室,ゼミD 田中先生:226室
村松先生:生命科学実験室,ゼミD 長原先生:225室
●生物環境コース
山名先生:324室 村勢先生:206室,ゼミD
栗山先生:115室,ゼミD 松永先生:(別個指示あり)
安倍先生:224室
●生体電子情報コース
星野先生:327室 保坂先生:229室
内川先生:326室
●医用・機械システムコース
福井先生:328室 宮脇先生:228室
内田先生:227室,ゼミD 舟久保先生:325室
ガン細胞とiPS細胞のあいだ
2009年09月02日
Supression of induced pluripotent stem cell generation by the p53-p21 pathway. Nature, Vol.460, Pages 1132-1135, 2009.
だいぶ読んでから時間がたってしまいましたが、今回の論文はiPS関連。
iPS細胞は、正常に分化(機能や形が変化)した細胞(皮膚や神経の細胞)を、時計を逆回しにして未分化な状態の細胞にしたもの。
iPS細胞は今では複数個の遺伝子を外部から細胞に入れることによりできることがだいたいわかりましたが、その後どのように細胞が若返るのか?はいまだ謎です。
この論文では、その若返りに、p53やp21という、ガン化を防ぐために細胞状態を監視して、急激にガン化しそうな細胞は殺す遺伝子が関係しているというものです。
p53やp21がおかしくなると、死ににくくなり、細胞分裂を繰り返し増殖し続けるようになります(ガン化)。
iPS細胞をつくるときも、p53やp21がないほうが作りやすいそうです。p53やp21は細胞が増えないように調節しているので、 未分化で増殖する能力を持つiPS細胞を作るには必要がない遺伝子なんでしょう。
ガン細胞とiPS細胞。似ている部分がかなりありそうです。
ちなみに、この号では p53とiPS細胞の関連論文がこの他に3つ一気に掲載されてました。編集サイドの思惑がありそうで面白いですね。
だいぶ読んでから時間がたってしまいましたが、今回の論文はiPS関連。
iPS細胞は、正常に分化(機能や形が変化)した細胞(皮膚や神経の細胞)を、時計を逆回しにして未分化な状態の細胞にしたもの。
iPS細胞は今では複数個の遺伝子を外部から細胞に入れることによりできることがだいたいわかりましたが、その後どのように細胞が若返るのか?はいまだ謎です。
この論文では、その若返りに、p53やp21という、ガン化を防ぐために細胞状態を監視して、急激にガン化しそうな細胞は殺す遺伝子が関係しているというものです。
p53やp21がおかしくなると、死ににくくなり、細胞分裂を繰り返し増殖し続けるようになります(ガン化)。
iPS細胞をつくるときも、p53やp21がないほうが作りやすいそうです。p53やp21は細胞が増えないように調節しているので、 未分化で増殖する能力を持つiPS細胞を作るには必要がない遺伝子なんでしょう。
ガン細胞とiPS細胞。似ている部分がかなりありそうです。
ちなみに、この号では p53とiPS細胞の関連論文がこの他に3つ一気に掲載されてました。編集サイドの思惑がありそうで面白いですね。