2010年05月

合成バクテリア 3

2010年05月27日

10,000アクセス突破、誠におめでとうございます
今後も出来るだけ皆さんに役立つ情報をアップして行けるよう頑張って参りますので、ご意見ご要望等 ありましたら、ぜひ安部まで〜。


先日お知らせしたRBの『タテコン』ですが、日時と場所が決まりました!
日時:6月24日(木)17:30〜19:30
場所:学生食堂「けやき」

実行委員はまだまだ募集中でもありますが、勇士達のおかげで計画も進んでおります。皆様のご参加とご協力をよろしくお願い致します。



今週は他に連絡も特にないので、論文紹介を。
Science誌(オンライン版)から、バクテリア(細菌)を作っちゃった!という論文です。

Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome
Published Online May 20, 2010

まず、最小の細胞と遺伝情報を持つバクテリアとして知られているマイコプラズマというバクテリアの1種をまねて全ゲノムが化学合成されました。最小と言ってもゲノムの大きさは1.08M塩基対ありますから簡単に合成出来る訳ではありません。化学合成で可能な長さの断片を合成し、それを次々と繋げていきます。化学合成された断片の数は 1,078個。

2〜3年前に同グループがこの大量の断片をうまい方法(遺伝子組換え)で繋げてマイコプラズマの全ゲノムの完全化学合成に成功しました!という、同じくScience誌で発表した論文を読んだ時は("Complete Chemical Synthesis, Assembly, and Cloning of a Mycoplasma genitalium Genome" )、本当に人工生命体が出来てしまうかも!ととてもワクワクしたのを覚えていますが、とうとう出来ちゃったのですねぇ。

類縁のマイコプラズマ属の細胞のゲノムを、この完成した人工ゲノムと入れ替えたところ、自己複製、つまり、人工合成されたゲノムの情報に従ってタンパク質が合成され、分裂増殖したのです。

新たな生命の誕生です。
とうとうゼロから人工生命体(ゲノム)を作り出してしまった訳です。倫理を問われるであろう研究ではありますが、これからの応用研究が期待されます。薬の合成に優れているなど、現存しない都合の良いゲノムを設計して新たな合成細胞を作り出せる可能性があるわけです。

上記の論文はまだオンラインでしか公開されていませんが、いずれ本誌に掲載予定の論文です。論文が受理されてから雑誌に掲載されるまで、印刷用に体裁を整えたり、結構時間がかかってしまうのです。1分1秒を争う研究分野では、一刻も早く情報が公開されることが望まれます。
そのため、Scienceでは重要だと思われる論文は掲載前にオンラインで公開されたりするのです。(受理した論文はその時点で次々とオンライン公開にする雑誌もあります。)


ところで、長原先生の論文紹介タイトルにいつもソソられている私。今回、論文を紹介するにあたって私も皆さんの興味をなるべく惹くようなタイトルを…と思ったのですが、なかなか難しい…。コメントも、難しい…。長原先生のセンスを改めて感じました



文責:アベ

やってみなきゃわかりません 3

2010年05月25日

Chemical genetics strategy identifies an HCV NS5A inhibitor with a potent clinical effect. Nature, Vol. 465, Pages 96-100, 2010.

このブログもついに、10000アクセスを突破しました!


一つの区切りのようで嬉しいです。生命理工学系の学生のためにと始めたこのブログ。現在は事務連絡とバイオ関連の最先端の研究紹介の二本立てにしていて、読んでいる人も生命理工学系を飛び越えてなぜか外国の人も(翻訳ソフトを使ってよんでいるみたい)。Natureをそのまま読んだ方が早いのでは・・・


それはさておき、今回はC型肝炎ウイルスの特効薬が見つかったという論文。
製薬メーカーの研究グループなのですが、100万種類の化合物から、こつこつとウイルスの増殖を抑えるけれど、細胞には悪影響を起こさないものをスクリーニングしたそうです。


そうしたところ、まあまあの化合物が見つかってきたんですが、それではちょっと効果としては弱い。そこで、いろいろと化合物の形をいじってみたところ、化合物を2つ抱き合わせた場合、非常に効果的にウイルスの増殖を抑制したのです!

ちょうどその化合物が2つ、ある形をとったときに標的に「すぽっ」とはまったんでしょう。その後見つかった標的はこれまでC型肝炎ウイルス増殖にどう関係しているのかわからないタンパク質だったそうです。


いかにエレガントな仮説をたてても、成功する確率は増えるでしょうが、成功するとは限らない。今回のような研究から、あっと驚く結果がでる可能性もある、まさにやってみなければ、そして続けなければ成功しないんだな、と思いました。
 

癌退治の新手法 3

2010年05月18日

Induction of tumor immunity by targeted inhibition of nonsense-mediated mRNA decay. Nature, Vol. 465, Pages 227-230, 2010.

最初に訂正です。

前回の長原担当分の内容の中で、年間5件程度Natureに疑義の問い合わせがありますと書きましたが、これはだいたい1冊あたり5件程度(Natureは週刊誌なので年間の延べ問い合わせ件数は相当な数になります)の誤りでした(以前の記事は修正しました)。


安部先生の記事を見て誤訳に気づきました。間違いに関する記事を書いたらその記事の内容を間違えました。笑うに笑えない・・・安部先生、どうもありがとうございました。やはり他人の意見は重要だということで。。。



さて、今回の論文は癌細胞をなくすための新たな方法についてです。実は私たちが持っている、異物を排除する免疫システムは、正常な細胞と違う、「異物の」癌細胞を見分けることができます。ただ残念ながら免疫システムが検出する、癌細胞の表面にある違い(抗原とよびます)はあまり多く出現していないため、うまく免疫システムが働かず、結果として癌細胞は除去できずに増殖してしまいます。

これまでに免疫システムを活性化して癌細胞をより上手に検出し、癌細胞をむりやりなくそうという試みもなされています。


今回は免疫システム側を強化するのではなく、癌細胞の違い(抗原)をたくさん出現させるように癌細胞の遺伝子の使われ方を調節したところ、癌の増殖が抑制された!という逆の側からのアプローチです。


今回のアプローチを他のアプローチと組み合わせることで相乗効果が期待できそうですね。

 

タテコン実行委員求む!! 5

2010年05月16日

最初に今週のご連絡です。

タテコン実行委員求む!!

RBでは毎年、学部1〜4年生、院生も含めて仲良くなりましょう!ということで、「タテコン」(縦の懇親会の略かしら?)を企画しております。卒研生や院生が研究室の実験内容について説明してくれたり、料理あり、クイズ・出し物あり、先生方の暴露話あり(?)の楽しい会です。今年も6月末に開催する予定で、多くの学生さんの参加を期待しておりますが、その会を中心的に企画して盛り上げてくれる学生達をただいま鋭意募集中です。
各学年から数人ずつと考えておりますので、RBの先輩後輩と仲良くなりたいと思っている方、お祭り好きの方、なんかおもしろいことやってみたい方、友達を誘ってぜひぜひ安部までご一報を。




前回の長原先生のお話は非常に重要な内容ですね。
わざとではなくても、結果を自分の良いように捉えてしまうことはあると思います。多角的に見て冷静に判断することが大切なのは当たり前なのですが、判断を急いでしまうこともあるかもしれません。こういう時、他の研究者からの指摘・アドバイスはとても有り難いものです。
学生の皆さんも、自分の実験だけではなく友人や先輩達の実験にも興味を持って、互いに活発に実験についてディスカッション出来るよう頑張って下さい。それはとても楽しいことだし、見えなかったものが見えて来たりしますよ。
また、論文に載せる属名・種名も間違え易いところですね。一般的な単語では無いので、綴りのミスは校正して頂いても気付かなかったりすることも。以前、私の先輩がタイトルで属名を一字間違ったまま掲載されてしまい、とても後悔されていたのを思い出します…。
しかし、最も多くの人に読まれているであろうネイチャーの、偽造疑いの連絡が年間たったの5件!というのは、さすがネイチャーと言うべきでしょうか。


文責:アベ

間違い?わざと? 3

2010年05月11日

Under suspicion. Nature, Vol. 464, Page 1245, 2010.

GWも終わりましたね。終わったとたんに天気が悪くなるという、GWはよかったなあ〜と思わせるムードに満ちあふれていますねぇ。

さて、今回は論文を読んでいて、あれ?おかしいぞ?という時があるかと思います。図の説明がおかしい(例えば図の記号がずれている)という論文は案外多いです。あら〜、なさけないとは思いますが、僕もあまり人のことはいえません。


僕も、以前書いた論文が掲載前の校正で「以下の3点の理由から〜って書いてありますけど、理由は2点しか書かれていませんですが」と雑誌社から指摘を受け、あ!!と急いで修正した後に掲載されたことがあります。たいてい有名な雑誌ほど、ちゃんと校正してくれますが、そうではない場合はスルーパスのような・・・(あくまで経験談)。


ということで、超有名なネイチャーではどうなのか?ネイチャーからの呼びかけが書かれていました。


まず、掲載前に徹底的なチェックを行い、ミスや、偽造データがないかどうかを調べるそうです(まあそうですよね)。それでも、掲載後にあれ?この論文のデータや図はおかしいぞ、偽造したんではないの?という連絡を1冊発刊ごとに5件程度受けるそうです。


そうなるとまずは著者に問い合わせて確認をとるそうです。大概、単純なミスであるそうで、その場合は、後日「訂正」をネイチャーの誌面に掲載して(後ろの方に載ります。ちょっと恥ずかしい)、ちゃんとしたデータを載せることで解決します。


ただ、世の中には偽造、うそのデータを使って論文を掲載する悪い人もいます。その場合はその著者の所属先(大学とか研究機関とか)に通報し、実験を適切に行ったのかどうかを検討してもらうように要請をします。


その結果、もし偽造がばれた場合は、「論文取り下げ」という判断をし、ネイチャー誌面に取り下げの理由が掲載されることになります(これも後ろの方に載ります。)



みなさんも、ぜひ偽造により科学の成果がゆがめられないように、おかしいと思ったら連絡して下さいね!と結んでいましたが、なかなか正邪を判断するのは難しいですよね〜。




1年生個人面談 4

2010年05月08日

GWが明けて暑い日が続いていますが、気が抜けたりしていませんか?気合い入れて行きましょう!


RB1年生の皆さんにご連絡です。
来週から先生方との個人面談が始まります。
詳しい時間や場所は掲示されますので、指定された時間・場所・担当の先生を必ず確認して、忘れないよう時間に遅れないよう気をつけて下さいね。
指定された時間に都合がつかない場合は、生命理工学系の庶務、あるいは直接担当の先生に申し出て時間を変更してもらって下さい。

入学式から2ヶ月ほど経ちましたが、講義等大学生活について、コース選択について、進路について、不安に思っていることはありませんか?
大学生活に関して何か分からないこと不安なことがある人は、この面談の機会に相談してみて下さい。



文責:アベ

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