2010年07月

生命理工学専攻主催セミナー開催報告(7/22) 4

2010年07月27日

今日は本来なら論文紹介の日ですが、先日のミニシンポジウム、「生命理工学の研究戦略ーゲノムデータベースの活用ー」の演者の1人が安部先生でしたので、僕(というより僕の研究室の学生)がその時の模様を写真におさめておきました。

日時: 7月22日(木)17:10〜19:00
場所: 12号館221教室
講師: 古川智之先生(カリフォルニア大学デイビス校)、安部智子(東京電機大学生命理工学系)

まずは大学時代に同級生だった古川氏のご講演模様。英語のスライドでしたが、わかりやすく講演していただいた、と感じました。

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続いて安部先生の講演。こちらも英語のスライド。残念ながら学生があまり安部先生の時に写真を撮っておりませんでした(安部先生すみません)。

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講演後の質疑応答も白熱し、かなり時間を超過してしまいました。参加された方、ごめんなさい。でも、おもしろい研究をそれぞれやられていて、あっという間のセミナーでした。

環境保全にも仕分けが必要? 3

2010年07月20日

Replacing underperforming protected areas achieves better conservation outcomes. Nature, Vol. 466, Pages 365-367, 2010.

今週の大学院向けのセミナー、安部先生が書かれているように、安部先生と私の知人の講演会になります。生命理工学系の人もぜひ興味のある方は参加して下さいね。

さて、今週の論文。

簡単にいうと、環境保全をしている区域のうち、お金をかけてもあまり効果があがらない区域は保全するのをやめて、代わりにまだ保全されていない区域で少しお金をかければ効果があがるところを保全した方がはるかに効率的ですよ、というものです。


確かに、科学的見地から種の保存だけを主目的に考え、しかも税金を使って環境保全をするのだから、そりゃあ少ないコストで、かつ効率よくできたほうがいいのですが、効率を最優先にしてしまい、ころころと保全区域を変えてしまうと、種の保存もうまくいかないだろうなあと思ってしまいます。

個々の保全区域には歴史的な事情もあるでしょうし、このような科学的なデータも活用しながら、広い視野をもった保護政策を行うことが必要ですね。


企業セミナー, ミニシンポジウム 5

2010年07月17日

まずは企業セミナーのお知らせです。

「卒業年次向け、学内企業セミナー」
日時: 7月29日(木)15:00〜17:00
場所: 鳩山キャンパス
内容: 個別面談方式の企業説明会
対象学生: 4年次・M2の未内定者

さらに詳しい内容は来週ポスターが貼り出される予定なので、該当者は確認して下さい。



次に、生命理工学専攻主催セミナーのおしらせです。

ミニシンポジウム「生命理工学の研究戦略ーゲノムデータベースの活用ー」
日時: 7月22日(木)17:10〜19:00
場所: 12号館221教室
講師: 古川智之先生(カリフォルニア大学デイビス校)、安部智子(東京電機大学生命理工学系)

詳しい内容や要旨を知りたい方は掲示板を確認して下さいね。
古川先生はカリフォルニア大学で植物のDNA損傷の修復系の研究を続けてこられたバリバリの若手研究者だそうです。研究の話だけでなく、アメリカでの研究者生活についてのお話などもお聞き出来るかも知れませんね。
古川先生は長原先生のご友人ということですので、長原先生、ご紹介をお願い致します!
それから、シンポジウムということで私も大学院生時代から今までの研究についてなど話をさせて頂くことになっております。こちらも興味ある方はぜひ〜。

大学院生、卒研生向けのセミナーですが、学部生の皆さんも奮ってご参加下さい。



長原先生の今週紹介の論文、中身もそうですが、タイトルがまたセンスありますねぇ〜。
『デジタルな活性化とアナログな情報処理』って。
うーん、見習いたい


文責:アベ


細胞のインプットとアウトプットを観察しよう 2

2010年07月13日

Single-cell NF-kB dynamics reveal digital activation and analogue information processing. Nature, Vol.466, Pages 267-271, 2010.

細胞は、何らかの刺激があるとそれに応じて何らかの反応を起こします。
このことはこれまでにすでにわかっていることですが、ある特定の、1つの細胞がある特定の刺激をうけたときにどのように反応するのか?これは実はあまりよくわかっていません。

普通、細胞がどのような変化を起こしたのか、ある特定のタンパク質やDNAの発現状況を調べるためには、量の問題もあり、細胞集団ごと回収して、全体の変化を観察するのが普通で、1つ1つの細胞の変化を観察するのはなかなか難しいのです。

でも、細胞によってはもちろん変化が起きにくいあまのじゃくなものもあれば、敏感に変化する細胞もいます。

そこで、この論文では、ある刺激を細胞にあたえ、その結果細胞内での場所が変化するタンパク質を細胞1個ごと追っかけて観察することにしました。

そのために、まずはそのタンパク質が作ることができない突然変異細胞を作製した後に、同じタンパク質+蛍光物質を作ることができるように戻した細胞を作りました。ようはそのタンパク質を光るタンパク質に「とりかえた」のです。

こうすれば、ある刺激を受けた時に光がどこに移動したのかを見れば1つ1つの細胞の反応を観察することができます。いやー、よく考えたものですね。残念ながらただ単に光るタンパク質のみを入れると、そのタンパク質の量が多くなりすぎてアウトプット解析が生理的な条件から変わってしまうんで、「とりかえた」んだとか。

技あり、な論文でした。こういう論文は参考になっていいですよね。

 

研究室説明会 3

2010年07月10日

長原先生ご推薦の論文はまだ見れないみたいですね〜。また次の回に!ということで。


生命科学・生物環境コース3年生の皆さんへ、研究室説明会のご連絡です。

7月14日(水)18:00〜
生命科学コース:210教室
生物環境コース:211教室

3年生の皆さん、お忘れなく〜。

卒業研究は大学生活の集大成です。
7月末には研究室が決定します。先生方の話をよく聞いて、しっかり考えてくださいね。
説明会で興味を持った研究室には、ぜひ直接出向いて先生や先輩方の話を聞きに行きましょう


文責:アベ


ハゲには免疫が関係している 3

2010年07月06日

Genome-wide association study in alopecia areata implicates both innate and adaptive immunity. Nature, Vol. 466, Pages 113-117, 2010.

ハゲ。まさかハゲの研究がNatureに載るとは。

と思いつつ読み進めてみると(やっぱり今後のことを考えると興味はありますしね)、ハゲはハゲでも円形脱毛症で、一般的な男性の脱毛症とは別物でした(タイトルの時点で気づくことはできるんですけどね)。

円形脱毛症はこれまでに免疫異常のために起きることがわかりつつあったそうですが、大人数での調査はされてこなかったようです。そこで、今回は1000人を超える円形脱毛症と3000人を超える脱毛症ではない人の遺伝子をかたっぱしから調べたそうです。

とまあ、こういった力技系の実験って、すごいですねとしかいいようがない。よっぽど高性能の機械とお金がないとこういう実験はできないですね。

で、結果として、やはり何個か免疫に関係する遺伝子が変異していることがわかったそうです。それらの遺伝子は、1型糖尿病やリウマチなど、他の免疫異常が関係する病気(自己免疫疾患)でも変異が見つかっていることから、免疫異常が円形脱毛症に関係していることがはっきりとしました。


ということは円形脱毛症になると他の免疫異常にもなりやすい?とも思える訳ですが、どうなんでしょうかね。

ちなみに、今週こっちの方が面白そうだなあと思ったのはScienceのこの論文(まだ出版前で全文読めません)。


安部先生、読めるようになったら紹介して頂けませんか?

 

こんなとこにもアミノ酸 3

2010年07月03日

長原先生が前回ご紹介して下さったヒトゲノムの解析完了の2000年、私はまだ進路も漠然としたピッチピチ(?)の大学生で、へぇそうなんだ〜くらいにしか思っていなかったように思います。
しかし、ジェームズ・ワトソンが自身の全遺伝子情報を公開した2007年は私にとって衝撃的でした。やっぱり研究者はこうでなくっちゃ!と研究者を夢見る大学院生の私は思ったわけなのですが…。


今日はまたお知らせも特にないので、論文の紹介を。

"D-Amino Acids Trigger Biofilm Disassembly"
Science, Vol. 328 (5978), pp 627-629, 2010.


"バイオフィルム"とは水垢だったり歯垢だったり、皆さんの周りでもよく(?)観察される細菌の膜のことです。細菌はその膜の中に集団となって存在しています。人間にとっては非常にやっかいなバイオフィルムですが、細菌にとっては外部環境から自身を守る重要な構造体です。水場であれば流されにくくなるし、病院等ではバイオフィルム内部の細菌には抗生物質や薬剤が効きにくかったりします。

しかし、一定の場所に留まり増殖すればその場の栄養を使い切ってしまうこともあります。古くなったバイオフィルムは壊れてしまうのですが、その時にバイオフィルム分解を誘発する物質があるのではないか?あるとしたらそれは何か?というのを明らかにした研究です。
これが解れば、医療や産業の現場で問題になっているバイオフィルムの除去や形成防止に役立てることが出来るかもしれません。

古くなったバイオフィルムの成分をクロマトグラフィーで分離して、その画分をこれからバイオフィルムを作ろうとしている細菌に与えたところ、バイオフィルムの形成を阻害する画分が見つかりました。その画分を調べた結果、阻害をしているのはD型のアミノ酸 (D-チロシン、D-メチオニン、D-トリプトファン、D-ロイシン) であることが解りました。またこのD型のアミノ酸はバイオフィルムの形成を阻害するだけでなく、出来てしまったバイオフィルムの分解も誘発することが解りました。

D型のアミノ酸が、細菌の細胞壁の構成成分であるペプチドグリカンに組込まれることによって、細胞とバイオフィルムの間の架橋が出来なくなるようです。

タンパク質に使われるアミノ酸は全てL型で、我々人間はもちろんD型のアミノ酸を合成することは出来ませんが、D型のアミノ酸を作る多くの細菌が見つかっていますので、これらの細菌もバイオフィルム分解の誘発にD型のアミノ酸を用いている可能性が考えられます。
論文の実験は主に Bacillus subtilis という菌を用いて行われましたが、Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) や Pseudomonas aeruginosa (緑膿菌、日和見感染) といった菌においても、D型アミノ酸がバイオフィルムの形成を阻害することが確認されました。


栄養がなくなったら勝手に崩壊するんじゃないかしら?とは思わず、分解においても制御があるのではないかと考えた、その目の付けどころが、やるなぁと思いました。



文責:アベ


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