Nature's choices. Nature, Vol. 463, Page 850, 2010.(電大の内部では全文が読めます)

科学論文雑誌として有名なネイチャーの論文の中から毎週僕が面白い!と思ったものをとりあげるこのコーナー。

今回は論文の紹介ではありません。

いったい超一流誌ネイチャーは、いったいどのような方針で論文を採用しているのか、編集部が研究者の社会でまことしやかに言われる都市伝説に対して回答する!というコラムがあったので、それを取りあげたいと思います(決して今週は手抜きという訳ではありませんよ)。

 
1.ネイチャーは将来大きく反響をよびそうな論文しか採用しないのではないか?

編集部の回答:さすがに後々その論文が引用されやすいかどうか、わかるわけないでしょう。

昨年は16000もの論文がネイチャーに投稿されたそうですが、その中からごく少数がネイチャーに採用される基準として、後々にその論文を引用したくなるようなものしか選んでいないのではないか(その根底には引用されやすい論文を掲載する雑誌はそれだけ格が高い雑誌という考えがあります) ということです。
引用されるくらい反響をよぶ論文かどうかある程度の予想はできるでしょうが、実際はどうかなんて神のみぞ知る、ですよねえ。コラムでは、化学分野で過去に掲載された論文のうち、たくさん引用された論文もあれば、あまり引用されなかった論文もありました、と具体的に論文の例をあげて説明していましたが、引用されなかった論文として名前を挙げられた方々、これは不名誉であまりうれしくないですよねえ。事前に掲載許可はとったんでしょうか。


2.ネイチャーは1人の審査員が掲載許可を出さなかったらすぐに編集サイド側で掲載不可能の判断をとるのか?

編集部の回答:そんなことはなく、編集者が最終決定権をもちます。編集者は毎年数週間最先端の科学知識の勉強をしているので、審査員がダメといっても、その論文の重要性を鑑み、編集者がオーケーを出す場合もあります。

これは他の一般的な論文雑誌と異なって、面白いですね。ネイチャーの編集者の責任は大変なものがあります。
 

3.ネイチャーの審査員は少数のエキスパート達が行っているのでは?

 編集部の回答:そんなことはなく、去年は5400人もの審査員を使用しており、ますます若手で最先端の研究手法をもつ若手の研究者を審査員にどんどんしています。

なんだかミシュランのような都市伝説ですが・・・ミシュランとは違ってたくさんの審査員が審査作業に携わっているんですね。一つの論文には2人以上の審査員が担当するみたいです。


というわけで、ネイチャーのうわさに対して、裏側はこうなっている!という編集部のコラムでしたが、編集部もこれだけ書いても都市伝説はなくならないだろうと最後に書いているように、完全に公開される作業ではないので謎はいつまでもなくならないでしょうね。