アルファがベータにかわる 3

2010年04月27日

Conversion of adult pancreatic α-cells to β-cells after β-cell loss. Nature, Vol. 464, Pages 1149-1154, 2010.

今、ES細胞やiPS細胞、はたまたiN細胞なんかもこのブログで紹介しましたが、損傷した細胞の代わりとなる細胞を人工的に作ってしまおう!という再生医療研究が花盛りですよね。


でも、この論文では、すい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞がなくなっても、見事に勝手に再生する!というお話なんです。再生医療あやうし!?

β細胞はインスリンを産生する細胞です。インスリンは血糖値を抑制するホルモンなので、β細胞がなくなると血糖値が上昇してしまいます(I型糖尿病と呼ばれます)。


今回、研究者達は動物の中でβ細胞だけを完全になくしたあと、すい臓の状態はどうなるのかを観察しました。



とさらっと書きましたが、この「完全になくす」という実験手法が今回のキーポイントですね。どうやったのかというと、β細胞だけ、ある毒素に反応して死んでしまうマウスを作成し、マウスにその毒素を投与して99%以上のβ細胞をなくすことに成功したそうです。


そして、すい臓の状態をずっと観察したところ、毒素を投与してなくなったはずのβ細胞が、日が経つに連れて新たに増えてくることがわかりました。

いったい、このβ細胞はどこからきたのか?もとからあったβ細胞の生き残りなのか?はたまた他の細胞がβ細胞になったのか?



実は、新しく増えたβ細胞は、同じくランゲルハンス島に存在するα細胞がβ細胞に変化してできたものだったのです。α細胞は血糖値を上昇させるホルモン(インスリンと逆ですね)、グルカゴンを産生していますが、分化し終わったはずのα細胞が、β細胞がなくなったことにより、β細胞へと分化してしまうそうです。


かなりα細胞とβ細胞は似た細胞だから以上のようなことが起こったのかもしれないということですが、わたしたちにもある程度の再生能力があるのかもしれないと思わせる論文でした。 

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
訪問者数

ブログ管理者