サルモネラの逆襲 3

2010年11月13日

いやー、すごいです。
今週の長原先生の初文そのままで恐縮ですが、ミオシンの動画、ほんと凄いっす。
まるで虫?
酵素(タンパク質)というのは実はかなりダイナミックに動いているようなのですが、見えないからこそ結晶化したりなんだりで、その場面場面の形から動きをなんとか想像してたわけなんですけどねぇ。


さて、タンパク質の世界はまだまだ解らないことがたくさん!ということで、今日は、食中毒の原因菌となるサルモネラ(チフス菌)は、自身が分泌する病原性因子のプロセシングに宿主の酵素を利用していた!!という論文の紹介です。

Salmonella Pathogenesis and Processing of Secreted Effectors by Caspase-3
Science, Vol. 330, No. 6002, p390-393, 2010.


サルモネラは動物の消化器系の上皮細胞内に侵入し、細胞内で増殖することにより胃腸炎を引き起こします。

で、サルモネラの侵入に際して、宿主細胞のカスパーゼ-3というアポトーシス性の酵素が活性化されることがわかっていました。アポトーシスと言えば長原先生のご専門ですが、必要でなくなった細胞のプログラム細胞死のことですね。感染によってアポトーシスを誘導するのだろう、と思われていたようですが…。

サルモネラは細胞内に侵入するするために病原性因子であるSipAというタンパク質を分泌するのですが、なんと、このSipAが宿主のカスパーゼ-3の作用によってより高い病原性を持つようになることが解りました。

SipAはカスパーゼ-3に認識されるアミノ酸配列を持っていて、カスパーゼ-3によって認識され切断されると、結果、より活動的な2つの病原性因子が作られることになります。片方は細胞に侵入する際にアクチン重合を刺激して細胞侵入を助け、もう片方は炎症を誘発します。

実際に、カスパーゼ-3遺伝子を欠損したマウスは、サルモネラによって誘発される胃腸炎にはかかりにくい、という結果も載ってます。


病原菌に対する”素早い”防御反応として宿主はカスパーゼ-3を誘導したはずだったろうに、病原菌は逆にその反応を利用してより高い病原性を持つようになったということかしら?
な、なんて絶妙な戦いなんだ…
ドキドキする論文でした。



文責:アベ

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