博士号をとっても・・・ 3

2011年04月29日

The PhD Factory. Nature, Vol. 472, Pages 276-279, 2011.

現在、博士号を取得する人が年間通して一番多い国はどこでしょう?



この雑誌ネイチャー発祥のイギリス?

サイエンスのメッカ、アメリカ?






正解は中国です(統計のとりかたによってアメリカの場合もあるようですが)。2009年に中国の大学で博士号を取得した人の数はなんと約5万人。これは1998年の数と比較すると40%ほど増えたそうです。人口ももともと世界一ですが、高学歴者の生産も世界一になったもようです。

日本では現在年間1万6千人、イギリスは年間1万6千人と日本と同等、ドイツが年間2万5千人と結構多く、アメリカは中国よりも少しすくないとのことです。



今回読んだネイチャーのニュース記事は、国別に博士制度がかかえる問題について書かれておりました。
よくいろいろなところで報道されているように暗い話だったのですが、博士号をとった後なかなかいいところに就職できない、年収も博士号を取得していない人とほとんど変わらない・・・という現実でした。

まっさきに問題を抱えている国のトップとしてこのニュースに挙げられている国は、われわれ日本。
日本の博士をとりまく環境は世界的に見てもひどく、需要がそれほどないのにも関わらず博士号取得者を増やした結果、2010年日本で自然科学分野で博士号を取得した1350名あまりのうち、フルタイムの職につけた人は746名。そのうち、たった162名が学校や公的機関の研究職になれたそうで、専門を活かしきれない状況です。このような状況もあいまって、ここ数年は博士号を取得しようという学生数が伸び悩んでおります。

このような問題は日本に限った話ではなく、アメリカでも同じ状況で、アメリカでは1973年に博士号取得後、6年の間に55%の人たちが終身雇用(テニュアとよびます)の職にありつけたのに対し、2006年ではその割合がわずか15%にまで減少しているそうです。
そのため、最終学歴終了後6-10年たった時点での年収は、博士号を取得しても、しなくても約6万ドルでほぼ変わらないそうです。これじゃあ博士号わざわざとりたくなくなりますよね。


このように、日本、アメリカなどの先進国では博士号取得者が余ってしまい、需要が少ないために残念ながら専門が活かしきれず、年収も低くなってしまう・・・というパターンに対し、中国、インドなどの新興国はまだ博士号取得者が少ないために博士号を取得すると年収は1.5倍になるようです。

読んでいるとどんどん暗くなっていきましたが、一番印象に残ったのがシンガポールの研究者の意見。

博士号を取得している人は、高度な専門性を有する以外に、その専門性の高め方、方法論を身につけているので、他の職に進んでも新たなアプローチや価値を見つけられやすい!

僕も同感です。

ということで、できれば企業ももっと博士号を持っている人をその方の専門以外の職種でもいいので受け入れてほしいと切に願います。



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